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根津甚八プロフィール
俳優。75年「娘たちの四季(フジテレビ)」でエランドール賞を受賞。同年「濡れた賽の目」で映画デビュー。80年黒沢明監督の「影武者」に出演。82年「さらば愛しき大地」でキネマ旬報主演男優賞、日本アカデミー賞主演男優賞受賞。85年に再び黒澤明監督の「乱」に出演し世界的評価を得る。近年は舞台を中心に精力的に活動している。
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自転車

皆さん、いかがお過ごしですか? 根津甚八です。
各地に被害をもたらした梅雨も、関東ではやっと開けました。   
いよいよ夏本番ですね!!!
   
今回はまた状況劇場時代のエピソードをご披露しようと思います。

俺が入団した経緯は以前書いたように、半分騙されてたようなフシもあったわけだけど、翌年の1970年からは毎年正式に(?)研究生を公募するようになった。
といっても、今のように情報媒体が溢れるほど無かったので、いつも公演ポスターを貼らしてくれてる酒場やジャズ喫茶に、新人募集のチラシを置いてもらうとか、「読書新聞」の隅に案内を掲載するという程度だったから、ほぼ口コミに近い形だった。
それでも、毎年数十名の応募者の中から選ばれた新人が少しずつ入団して来て、阿佐ヶ谷の稽古場が手狭になってきた・・・というのがキッカケだったかどうかは知らないが、唐さんの自宅兼稽古場は、杉並区阿佐ヶ谷の借家から練馬区土支田の借家に移ることになった。

吸血姫
土支田に移って最初の芝居「吸血姫」のポスター


阿佐ヶ谷の稽古場は、JR中央線阿佐ヶ谷駅南口から「パールセンター」というコギレイで大きなアーケード商店街の中を抜けた辺りの裏手にあったので、周囲にはあらゆる店が並んでいて、賑やかで、便利で、楽しい環境であった。
それに比べて、土支田の新しい稽古場の周辺環境には驚いた。
周りは畑、畑、畑、畑、畑。

見渡す限りハタケばかり。ほんの数キロ北へ上がれば、そこはもう埼玉県という、東京であって東京ではないような所であった。
阿佐ヶ谷駅周辺のもつ焼き屋とか喫茶店とか、パールセンター商店街が恋しく思えたものだ。

商店街なんて、とんでもない。周りに店の一軒もありゃしない。
こいつには、正直ショックを受けたね。
一番近い駅が西武池袋線「石神井公園駅」なんだけど、歩いて20分もかかるのだ。

この頃の俺は、稽古場住まいを卒業して、阿佐ヶ谷の稽古場まで歩いて10分くらいの青梅街道沿いのアパート住まいを始めていた。
そこで困ったのは、土支田の稽古場へ通う手段である。

阿佐ヶ谷のアパートから電車で通うとなると、一旦新宿へ出てから、池袋へ行き、私鉄に乗り換え「石神井公園駅」、それから徒歩20分。時間も金も懸かり過ぎ。
バスを乗り継いで行くというルートもあったが、渋滞にはまる場合もあるし、時間が読めない。
こいつは、どうしたもんかと思案していたら、
ある日、大先輩の麿さんが、革ジャンにダウンハンドルの自転車というスタイルで稽古場に現れた。

「麿さん、自転車だと、どのくらいで来られるます?」
「ユックリで30分、飛ばせば20分チョットかな」
「エエッ、そんなに早いんですか!!」

麿さんの家と、俺のアパートは近所であった。
よし、俺も自転車で通おう。時間も金もかからないし、稽古場での酒宴が深夜まで続こうが、気にならない。
ただし、肝心の自転車を持っていなかった。
以前、実家に帰った時、格好良いスポーツ自転車が置いてあったのを思い出した。早速、母に電話で聞いてみた。

「ああ、あれはね、○○が買ったんだけど、今は乗ってないみたいよ」

○○とは、2才したの弟である。

「そうなの。じゃ、近いうちに取りに行くよ」

ってなわけで、半ば強引に弟が使わなくなったダウンハンドルのスポーツ車を譲り受けた。
前2段後4段の変速ギア付きで、こだわり屋の弟らしく一級品であった。

早速翌日から自転車での稽古場通いが始まった!

これが、やってみると快適なんだよね。
阿佐ヶ谷から土支田までの裏道から裏道を、風を切って、殆どノンストップで走り抜けて行くんです。怖いもの知らずでしたね。

ところが、自転車で通い始めて半年たち、裏道のも慣れ始めた頃でした。
俺は、宙を飛んだのです。

つづく
    
また次回、お会いしましょう。
投稿者 根津甚八 16:13 | コメント(6) | トラックバック(0)
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