Jeep2006年07月17日
皆さん、いかがお過ごしですか? 根津甚八です。
今年の5月の天候は最悪でしたね。ドンヨリした日が続き、「五月晴れ」と呼べるような清々しい日は、ほんの2、3日しかなかったですよね。
そして、そのまま梅雨に突入してしまいました。
テニス大好き人間の皆さんは、心地よい陽の光を一杯に浴びながら、オープンエアーのコートで、久しぶりに清々しい汗を流せるぞと意気込んでいたのにガックリきた方も多かったのでは…。
日本で一年を通じて一番心地良い季節が5月と10月です。
これには誰も異論はないと思います。
暑くもなく寒くもなく、陽射しは柔らかく、風はサラッと優しく匂い立つようで、たま~に、ここはハワイでは?と思えるような日もありますよね。
俺も、CJ-7というJeepを持っていた頃、この2ヶ月間を特に楽しみにしていました。
CJ-7がどんな車なのか知らない人ためにザッと説明すると、Jeepというのは元々米軍の軍用車で、それを第二次大戦後に、Civilian Jeep、つまりCJと形を変えて民間で売り出された四輪駆動車で、遊びのための車です。
俺が乗っていたのは、1978年製の、アメリカ独立200周年記念の特別バージョン、『CJ-7ゴールデンイーグル』という仰々しい名前がついたやつでした。
フルタイム4WD、排気量5、V8、3速オートマ、エアコン付き。ハードトップ仕様でソフトトップ(幌)のおまけ付き。
色はメタリックダークグリーン。車体の半分を占める馬鹿でかいボンネットの上面一杯に、アメリカの国鳥・白頭鷲が羽を広げた格好でゴールドタリックで描かれているから、外観はかなりハデハデ。
初めて見た時は,自分が乗る車じゃないなと感じました。
ところで、役者というのは、仕事をしてる時は常に、多くの他人の視線に晒せれっぱなしです。また,視られていなければ成立しないのも役者というもの。
ですから、知らない間に「他人の視線」から放射される「凝視ウィルス」のようなものに侵されてしまっているのです。
だから、オフの時は出来るだけ他人の目を避けて、地味イ~~な格好をして、地味イ~~にひっそりと過ごしたくなるものなんです。
要するに「匿名性」にまぎれて、本来の自分に戻りたいというところがあるんですね。
無論、これとは逆に、オフの時でも目立ちたがり屋でいたいというタイプの方もいるようです。おそらく「凝視ウィルス」に対して、元々免疫力が備わっている人種なんでしょうね。
俺の場合はこの免疫力、殆どゼロですから、オフの時は地味~にしていたいんです。当然車も地味なものにしてました。
だからGOLEDEN EAGLEを最初見た時、こんなハデハデな車なんて、トンでもない。俺には似合わないと思ったわけです。
ところが、一旦試乗してみたら、そのバイクのような鋭い出足と強烈なパワー(ポルシェと信号グランプリやっても、100m位までなら勝てる)、それと野太く、低音で腹にまで響く独特の〈V8サウンド〉に一発でノックアウトされてまい、欲しくなってしまったのです。
この車の最大の魅力は、何と言ってもフルオープンにして走ってる時のこの上ない開放感。こいつばかりは一度体感すると病みつきになること、間違い無し。
オープンカーというと、普通、たためる部分はルーフとリアウィンドーというのが常識でしょ。
ところがどっこい、Jeepのオープンスタイルというのは、たためる部分がルーフとリアウィンドーだけではないんです。ナ、ナ、ナント左右のドアも、(ドアですよ、ドア)ヒョイと持ち上げるだけで、簡単にはずせる仕組みになっているのです。さすが、軍用車だね。
だから乗り降りはいたって簡単。ドアの開け閉めの手順無しで、いきなりヒョイとシートに飛び乗って、即出発。瞬時にして全身が風に包まれる。これ以上開放感を味合わせてくれる車は他にはないと思う。
もっと過激にやろうと思えば、フロントウィンドーもボンネットの上にたためちゃう。こうなると、乗ってる人間の体はほぼむき出し状態、つまり、巨大なバイクに腰掛けているような感覚と言ったらいいのかな。
さすがに、フロントウィンドーまで倒した究極のオープンスタイルは、数回しかやったことがないけどね。街中ではないですよ、山に入ってからです、勿論。
街中でやったら、例えばこんなことになります。
まず、極フツウに転がしているだけで充分目立ち過ぎです。
渋滞にはまったら、それこそ大変。間違いなく周り中から冷ややかな視線の集中放射を受けます。
最悪なのは、渋滞中のスクランブル交差点で、青信号で渡りきれず横断歩道上に停まってしまった時でしょうね。こうなったら恥ずかしいですよ。
でも、そういう時は、恥ずかしいなんて事はおくびにも出さず、冷たい視線の群れが過ぎ去るまで、ぐっとステアリングを握りしめ、ジッと前方の一点を意味なく睨みつけてただ耐える、これしかありません。
でも、このフルオープンでの走りを満喫できるのは、一年のうち気候の穏やかな5月と10月の雨が降らない日に限られてしまうのです。
多少我慢すれば、日本の冬や夏でも乗れることは乗れるんですがね。
冬は、バイクに乗る時とほぼ同じ身支度をすれば、それなりに快適。
たまに雪が積もった日なんか、用もないのに家の近所を走り回ったりして、結構楽しめる。
でも夏は、いかんね。まるで、いかん。
屋根がないから強列な陽射しの直撃を避けようがないわけです。シートからステアリングから、何から何までアッツくて耐えられたもんじゃないです。エアコンをフルにしたって、気休め程度の効果しかありません。
車に乗ってるのに、車内は車外よりもめちゃくちゃアッツクなるんです。
特にシートと密着してる背中、尻、腿の裏は汗でグッショグショ。まるで灼熱地獄と言ってもいい。
他にもデメリットはありましたね。
なんといっても燃費の悪さ。都内だと、ナナナナント、リッター2,7km位しか走りません。まるでガソリンを撒きながら走ってるようなもので、とても毎日は乗れませんでした。
かといってちょくちょく乗ってやらないと、エンジンが機嫌を損ねるんですよね。修理費もかなりかかりましたね。
こんな手のかかるやつだから、逆に愛着が湧いて来てしまうんですよね。
たとえ一年のうちの5月と10月の雨が降らない日という限定賞味期間付きではあっても、滅茶苦茶面白い車でした。
開高健さんの言葉で「男の大人と子供の違いは、持ってる玩具の値段の違い」というのがありましたけど、本当にその通りだと思います。
CJ-7は俺にとって最高の玩具でした。
では、またお会いしましょう。
今年の5月の天候は最悪でしたね。ドンヨリした日が続き、「五月晴れ」と呼べるような清々しい日は、ほんの2、3日しかなかったですよね。
そして、そのまま梅雨に突入してしまいました。
テニス大好き人間の皆さんは、心地よい陽の光を一杯に浴びながら、オープンエアーのコートで、久しぶりに清々しい汗を流せるぞと意気込んでいたのにガックリきた方も多かったのでは…。
日本で一年を通じて一番心地良い季節が5月と10月です。
これには誰も異論はないと思います。
暑くもなく寒くもなく、陽射しは柔らかく、風はサラッと優しく匂い立つようで、たま~に、ここはハワイでは?と思えるような日もありますよね。
俺も、CJ-7というJeepを持っていた頃、この2ヶ月間を特に楽しみにしていました。
CJ-7がどんな車なのか知らない人ためにザッと説明すると、Jeepというのは元々米軍の軍用車で、それを第二次大戦後に、Civilian Jeep、つまりCJと形を変えて民間で売り出された四輪駆動車で、遊びのための車です。
俺が乗っていたのは、1978年製の、アメリカ独立200周年記念の特別バージョン、『CJ-7ゴールデンイーグル』という仰々しい名前がついたやつでした。
フルタイム4WD、排気量5、V8、3速オートマ、エアコン付き。ハードトップ仕様でソフトトップ(幌)のおまけ付き。
色はメタリックダークグリーン。車体の半分を占める馬鹿でかいボンネットの上面一杯に、アメリカの国鳥・白頭鷲が羽を広げた格好でゴールドタリックで描かれているから、外観はかなりハデハデ。
初めて見た時は,自分が乗る車じゃないなと感じました。
冬の富士山を登坂した時。残念ながらハードトップ仕様。
ところで、役者というのは、仕事をしてる時は常に、多くの他人の視線に晒せれっぱなしです。また,視られていなければ成立しないのも役者というもの。
ですから、知らない間に「他人の視線」から放射される「凝視ウィルス」のようなものに侵されてしまっているのです。
だから、オフの時は出来るだけ他人の目を避けて、地味イ~~な格好をして、地味イ~~にひっそりと過ごしたくなるものなんです。
要するに「匿名性」にまぎれて、本来の自分に戻りたいというところがあるんですね。
無論、これとは逆に、オフの時でも目立ちたがり屋でいたいというタイプの方もいるようです。おそらく「凝視ウィルス」に対して、元々免疫力が備わっている人種なんでしょうね。
俺の場合はこの免疫力、殆どゼロですから、オフの時は地味~にしていたいんです。当然車も地味なものにしてました。
だからGOLEDEN EAGLEを最初見た時、こんなハデハデな車なんて、トンでもない。俺には似合わないと思ったわけです。
ところが、一旦試乗してみたら、そのバイクのような鋭い出足と強烈なパワー(ポルシェと信号グランプリやっても、100m位までなら勝てる)、それと野太く、低音で腹にまで響く独特の〈V8サウンド〉に一発でノックアウトされてまい、欲しくなってしまったのです。
この車の最大の魅力は、何と言ってもフルオープンにして走ってる時のこの上ない開放感。こいつばかりは一度体感すると病みつきになること、間違い無し。
オープンカーというと、普通、たためる部分はルーフとリアウィンドーというのが常識でしょ。
ところがどっこい、Jeepのオープンスタイルというのは、たためる部分がルーフとリアウィンドーだけではないんです。ナ、ナ、ナント左右のドアも、(ドアですよ、ドア)ヒョイと持ち上げるだけで、簡単にはずせる仕組みになっているのです。さすが、軍用車だね。
だから乗り降りはいたって簡単。ドアの開け閉めの手順無しで、いきなりヒョイとシートに飛び乗って、即出発。瞬時にして全身が風に包まれる。これ以上開放感を味合わせてくれる車は他にはないと思う。
もっと過激にやろうと思えば、フロントウィンドーもボンネットの上にたためちゃう。こうなると、乗ってる人間の体はほぼむき出し状態、つまり、巨大なバイクに腰掛けているような感覚と言ったらいいのかな。
さすがに、フロントウィンドーまで倒した究極のオープンスタイルは、数回しかやったことがないけどね。街中ではないですよ、山に入ってからです、勿論。
街中でやったら、例えばこんなことになります。
まず、極フツウに転がしているだけで充分目立ち過ぎです。
渋滞にはまったら、それこそ大変。間違いなく周り中から冷ややかな視線の集中放射を受けます。
最悪なのは、渋滞中のスクランブル交差点で、青信号で渡りきれず横断歩道上に停まってしまった時でしょうね。こうなったら恥ずかしいですよ。
でも、そういう時は、恥ずかしいなんて事はおくびにも出さず、冷たい視線の群れが過ぎ去るまで、ぐっとステアリングを握りしめ、ジッと前方の一点を意味なく睨みつけてただ耐える、これしかありません。
でも、このフルオープンでの走りを満喫できるのは、一年のうち気候の穏やかな5月と10月の雨が降らない日に限られてしまうのです。
多少我慢すれば、日本の冬や夏でも乗れることは乗れるんですがね。
冬は、バイクに乗る時とほぼ同じ身支度をすれば、それなりに快適。
たまに雪が積もった日なんか、用もないのに家の近所を走り回ったりして、結構楽しめる。
でも夏は、いかんね。まるで、いかん。
屋根がないから強列な陽射しの直撃を避けようがないわけです。シートからステアリングから、何から何までアッツくて耐えられたもんじゃないです。エアコンをフルにしたって、気休め程度の効果しかありません。
車に乗ってるのに、車内は車外よりもめちゃくちゃアッツクなるんです。
特にシートと密着してる背中、尻、腿の裏は汗でグッショグショ。まるで灼熱地獄と言ってもいい。
他にもデメリットはありましたね。
なんといっても燃費の悪さ。都内だと、ナナナナント、リッター2,7km位しか走りません。まるでガソリンを撒きながら走ってるようなもので、とても毎日は乗れませんでした。
かといってちょくちょく乗ってやらないと、エンジンが機嫌を損ねるんですよね。修理費もかなりかかりましたね。
こんな手のかかるやつだから、逆に愛着が湧いて来てしまうんですよね。
たとえ一年のうちの5月と10月の雨が降らない日という限定賞味期間付きではあっても、滅茶苦茶面白い車でした。
開高健さんの言葉で「男の大人と子供の違いは、持ってる玩具の値段の違い」というのがありましたけど、本当にその通りだと思います。
CJ-7は俺にとって最高の玩具でした。
では、またお会いしましょう。