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根津甚八プロフィール
俳優。75年「娘たちの四季(フジテレビ)」でエランドール賞を受賞。同年「濡れた賽の目」で映画デビュー。80年黒沢明監督の「影武者」に出演。82年「さらば愛しき大地」でキネマ旬報主演男優賞、日本アカデミー賞主演男優賞受賞。85年に再び黒澤明監督の「乱」に出演し世界的評価を得る。近年は舞台を中心に精力的に活動している。
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異形の役者体

皆さん、いかがお過ごしですか?

ちょいとご無沙汰してしまいました。

朝晩はまだ少し寒さを感じますが、日中はもうすっかり春の陽気ですね。日照時間も長くなってきて、気分もちょっぴりウキウキしてきますね。

黄色の花


家の裏庭では???の木が、薄黄色の可愛い花を、枝いっぱいに咲かせています。
一昨日、多摩堤通りを通ったら、もう何本もの桜の木が花をつけ始めていて、驚きでした。

もう完璧に春です。でも、俺のまわりでは風邪をひいてる人が結構います。
異常暖冬の影響でしょうか、ここんとこ昼夜の寒暖のギャップが激しいので、皆さんも体調管理にご注意あれ!

今回は、久しぶりに状況劇場に入団した頃のエピソードを紹介することにします。

以前にも話したように、俺が入団した時、状況劇場は「少女都市」という芝居の稽古の真っ最中であった。

「俺は、憧れの唐十朗が主宰する『状況劇場』の一員に、本当になったんだ」

と自ら喜びを噛み締めながら、十畳あまりの洋間の隅で、両膝を抱えるようにして、眼前3、4メートルで繰り広げられる怪優・奇優たちの演技にただただ圧倒されつつ、毎日食い入るように観ていた。
そりゃ、毎日が夢の中いるような日々でしたね。

当時の状況劇場の役者の中で、俺がまず衝撃を受けたのは、麿赤児(あかじ)であり、四谷シモン、唐十朗、大久保鷹、李礼仙、そして不破万作。

中でも、麿さんのその圧倒的な異形の存在感の塊とでもいうか、得体の知れないヒトに似た生き物とでも言ったらいいのだろうか・・・。
とにかく、かつて見たことの無い役者体を間近に、ブッタマゲタの連続であった。

麿さんが登場すると同時に、もの凄い速度と破壊力で、観ている者の日常はものの見事に打ち砕いてしまうのだ。
とは言っても、時に悲哀と愛嬌もかいま見せる。
恐ろし気でも、汚くない。オドロオドロしてはいるが、何処か少し抜けてる風でもある。」

麿赤児
決して指名手配者ではありません。

        

この時被ってるハットは、恐らくスキンヘッドを守るためのもの。
1960年代でスキンヘッドというヘアースタイル(ん?)をしてる若者(ん、ん?)は、寺のお坊さんぐらいしかいなかった。
いや、そうだ、ユル・ブリンナーというスキンヘッドが売り物のハリウッドスターがいたなあ。いやあ、懐かしの大スターを思い出しちまった。
格好良かったなあ、ユル・ブリンナー・・・「王様と私」、「荒野の七人」(黒澤明監督の名作・『七人の侍』をパクった西部劇。彼は、志村喬が演られた「勘兵衛」の役所であった)、「隊長ブリーバ」・・・。

ところで、普段の麿さんは、あっさりとしたいい人だが、時に、とんでもない悪戯をしかけられたことがある。

「少女都市のカーテンコール」
少女都市のカーテンコール。中が麿さん


本番の芝居がはねた後、稽古場への帰りには必ず、劇団員全員で銭湯で汗を流すのが慣例であった。
俺はからんの前に腰掛けて、気持ちも伸びやかに髪を洗っていた。
すると、俺の左肩をトントンと叩く奴がいる。

「誰だよう、こんな時に・・・」

と、後ろを振り向いたその目に飛び込んできたものは、

「ひぇっ???」

な、な、何と、ち○ぽの先っちょであった!!!!!

驚いて見上げると、麿さんがエヘラ顔で自分のち○ぽを指先でつまんでぶらぶらさせてるのでった。

子供の頃、よく友達の後ろから肩を叩いて、相手の振り向きざまに、人差し指で頬をつついて面白がる、あれです。いや、あれの「ち○ぽ」バージョンです。

外見は厳つい感じだけど、そんな悪戯をしても、全く憎めないすっごい良い人なんですよね、麿さんって。

状況劇場にいた9年間、「えっ」と驚くことはまだまだ山程あるけれど、今回はここまでといたしましょう。

では、またの機会にお会いしましょう。
投稿者 根津甚八 19:54 | コメント(11) | トラックバック(0)
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