「このぉ、オオカミ少年!」2006年09月25日
皆さん、いかがお過ごしでしょうか? 根津甚八です。
庭のキンモクセイが咲き始めました。
窓を開けておくと、涼しい風に乗ってきた甘い香りが、ほのかに部屋中に漂い、身も心もトロトロにとろけそうです。
そう、香りには、人一倍敏感な、俺です。
花の香りの中で、一番好きなのがバラ。次にクチナシ。三番目が、今が季節のキンモクセイ。
秋もいよいよ本番です。
今回もまた、昔やらかしてしまったエピソードです。
今から30年位前になりますかね。
「さらば愛しき大地」という作品で、ベルリン映画祭に出席した時のことです。
始めは、映画祭に出ることは考えていませんでした。
というのは、この映画がコンペ部門に正式出品されると決まった時、映画祭での「さらば・・」の上映日と、俺のテレビドラマの撮影初日とがかち合ってしまっていたからです。
しかし、よおく考えてみれば、自分が主演した映画が、世界の3大映画祭の一つであるベルリン映画祭に出品されるなどということは滅多にあることではない。
(俺も行きたい。絶対に行きたあい!!!!)
と、我が儘を言って、マネージャーにテレビドラマのプロデューサーと交渉してもらい、4日間だけ、ベルリン映画祭に参加するための日程をもぎ取り、強引に同行することにしたのです。
一行は、柳町光男監督、俺のマネージャーIさん、俺の友人のTさんと俺の、男4名。真冬の西ベルリンへと飛び立った。
当時のドイツは、まだ東西に分断されていて、映画祭が開催される西ベルリンは東ドイツ領内のど真ん中にあって、東西冷戦の象徴である「ベルリンの壁」で囲まれていた。
当然、日本から西ベルリンへの直行便はなかったわけです。
で、成田空港を出るとフランクフルト空港で一旦西ドイツ領内に入り、ここで国内便(???)に乗り換えて、東ドイツ領の上空を飛び、西ベルリンに入ったのでした。
共産圏の上空を飛んでいる時、妙な緊張感を覚えたのを思い出します。
ベルリン映画祭は、カンヌ映画祭と比べると、かなり地味目で、どことなく学究的な雰囲気を持った映画祭でした。
慌ただしく自分の主演作の上映だけを見届け、柳町監督と記者会見にも同席し、翌朝には、俺一人だけ日本へ戻らなければならない。無理を言って取ってもらった日程だから、仕方が無い。帰国の翌日には、伊豆大島ロケのため、竹芝桟橋からフェリーに乗り込まねばならないのだ。
(ああ、皆と一緒に異国での映画祭をもっと楽しみたいなあ)
正直言って、ベルリンに残る3人が羨ましかった。
だが、仕事は待ってくれない。
(寂しい一人旅になるなあ。)
とガックリしていたところへ、力強い同行者が現れたのだ。
ドイツ語がベラベラな留学生O君である。
彼が、どういう経緯で、我々一行に混じってきたかは、全く思い出せない。恐らく、柳町監督の作品のファンで、押し掛けお手伝いといったところだったのではないかと思う。監督が、彼のドイツ語が便利だったので、知らぬ間にボランティア的パシリに使っていたのではないかと思う。
ま、それはこの際あまり重要ではない。肝心なことは、O君がドイツ語に堪能であったという一点である。
「根津さん、異国での一人旅は、チョット心もとないでしょう? フランクフルト迄一緒に行きますよ。僕はケルンでのお祭りを見物に行くついでだから、全然構いませんよ」
外国で言葉が通じないというのは、もの凄く心細いものである。寂しいものである。すんごいストレスである。
ドイツ語が得意な彼がフランクフルト空港までアテンドしてくれるなら、何の心配もいらない。
思わぬ助っ人の登場で、気が重かった帰りの一人旅が一気に気楽になった。
翌朝、映画祭に残る3人に見送られて、西ベルリンを出発。
タクシー料金の支払いから、搭乗手続き、ショッピング、もう何もかも、全てを留学生O君のドイツ語に委ねっぱなし。まるで、金魚の糞状態。
さて、フランクフルトに着いたら、な、な、なんと成田行きの国際便までのトランジットタイムが4時間半。どうやら雪のせいらしい。
「根津さん、市内見物でもしませんか?」
「え? 空港の外へ出られるの?」
「出来ますよ。どうします?」
「買い物も済んじゃったし、じゃ、そうしようか」
ってなことで、これといった当ても無くブラブラと市内見物。
小腹が空いたので、本場のフランクフルトソーセージで、ジョッキで生ビールを一杯。
これが実に旨い! 口にする物は、やはり鮮度が一番ってことですかね。
歩き疲れて空港に戻ったが、O君はまだまだ2時間以上ありますねというもんだから、カフェで最後の本場の生ビールを飲むことにした。
相変わらずドイツの生ビールは旨い!
それにしても、このトランジットタイムは長過ぎた。
人間、あまりに暇過ぎるとろくでもないことを考えるものだ。
(ベルリンに残った3人は、今頃、映画祭を満喫してるんだろうなあ・・・)
と、羨ましく思った瞬間、とんでもない悪戯がひらめいたのだった!!!
すみません、続きは次回にさせてもらいます。
しかあし、続編のアップは意外に早いかも。
一週間後には、必ず!
ではまた、お会いしましょう。
庭のキンモクセイが咲き始めました。
窓を開けておくと、涼しい風に乗ってきた甘い香りが、ほのかに部屋中に漂い、身も心もトロトロにとろけそうです。
そう、香りには、人一倍敏感な、俺です。
花の香りの中で、一番好きなのがバラ。次にクチナシ。三番目が、今が季節のキンモクセイ。
秋もいよいよ本番です。
今回もまた、昔やらかしてしまったエピソードです。
今から30年位前になりますかね。
「さらば愛しき大地」という作品で、ベルリン映画祭に出席した時のことです。
始めは、映画祭に出ることは考えていませんでした。
というのは、この映画がコンペ部門に正式出品されると決まった時、映画祭での「さらば・・」の上映日と、俺のテレビドラマの撮影初日とがかち合ってしまっていたからです。
しかし、よおく考えてみれば、自分が主演した映画が、世界の3大映画祭の一つであるベルリン映画祭に出品されるなどということは滅多にあることではない。
(俺も行きたい。絶対に行きたあい!!!!)
と、我が儘を言って、マネージャーにテレビドラマのプロデューサーと交渉してもらい、4日間だけ、ベルリン映画祭に参加するための日程をもぎ取り、強引に同行することにしたのです。
一行は、柳町光男監督、俺のマネージャーIさん、俺の友人のTさんと俺の、男4名。真冬の西ベルリンへと飛び立った。
当時のドイツは、まだ東西に分断されていて、映画祭が開催される西ベルリンは東ドイツ領内のど真ん中にあって、東西冷戦の象徴である「ベルリンの壁」で囲まれていた。
当然、日本から西ベルリンへの直行便はなかったわけです。
で、成田空港を出るとフランクフルト空港で一旦西ドイツ領内に入り、ここで国内便(???)に乗り換えて、東ドイツ領の上空を飛び、西ベルリンに入ったのでした。
共産圏の上空を飛んでいる時、妙な緊張感を覚えたのを思い出します。
ベルリン映画祭は、カンヌ映画祭と比べると、かなり地味目で、どことなく学究的な雰囲気を持った映画祭でした。
慌ただしく自分の主演作の上映だけを見届け、柳町監督と記者会見にも同席し、翌朝には、俺一人だけ日本へ戻らなければならない。無理を言って取ってもらった日程だから、仕方が無い。帰国の翌日には、伊豆大島ロケのため、竹芝桟橋からフェリーに乗り込まねばならないのだ。
(ああ、皆と一緒に異国での映画祭をもっと楽しみたいなあ)
正直言って、ベルリンに残る3人が羨ましかった。
だが、仕事は待ってくれない。
(寂しい一人旅になるなあ。)
とガックリしていたところへ、力強い同行者が現れたのだ。
ドイツ語がベラベラな留学生O君である。
彼が、どういう経緯で、我々一行に混じってきたかは、全く思い出せない。恐らく、柳町監督の作品のファンで、押し掛けお手伝いといったところだったのではないかと思う。監督が、彼のドイツ語が便利だったので、知らぬ間にボランティア的パシリに使っていたのではないかと思う。
ま、それはこの際あまり重要ではない。肝心なことは、O君がドイツ語に堪能であったという一点である。
「根津さん、異国での一人旅は、チョット心もとないでしょう? フランクフルト迄一緒に行きますよ。僕はケルンでのお祭りを見物に行くついでだから、全然構いませんよ」
外国で言葉が通じないというのは、もの凄く心細いものである。寂しいものである。すんごいストレスである。
ドイツ語が得意な彼がフランクフルト空港までアテンドしてくれるなら、何の心配もいらない。
思わぬ助っ人の登場で、気が重かった帰りの一人旅が一気に気楽になった。
翌朝、映画祭に残る3人に見送られて、西ベルリンを出発。
タクシー料金の支払いから、搭乗手続き、ショッピング、もう何もかも、全てを留学生O君のドイツ語に委ねっぱなし。まるで、金魚の糞状態。
さて、フランクフルトに着いたら、な、な、なんと成田行きの国際便までのトランジットタイムが4時間半。どうやら雪のせいらしい。
「根津さん、市内見物でもしませんか?」
「え? 空港の外へ出られるの?」
「出来ますよ。どうします?」
「買い物も済んじゃったし、じゃ、そうしようか」
ってなことで、これといった当ても無くブラブラと市内見物。
小腹が空いたので、本場のフランクフルトソーセージで、ジョッキで生ビールを一杯。
これが実に旨い! 口にする物は、やはり鮮度が一番ってことですかね。
歩き疲れて空港に戻ったが、O君はまだまだ2時間以上ありますねというもんだから、カフェで最後の本場の生ビールを飲むことにした。
相変わらずドイツの生ビールは旨い!
それにしても、このトランジットタイムは長過ぎた。
人間、あまりに暇過ぎるとろくでもないことを考えるものだ。
(ベルリンに残った3人は、今頃、映画祭を満喫してるんだろうなあ・・・)
と、羨ましく思った瞬間、とんでもない悪戯がひらめいたのだった!!!
すみません、続きは次回にさせてもらいます。
しかあし、続編のアップは意外に早いかも。
一週間後には、必ず!
ではまた、お会いしましょう。