自転車32006年08月14日
皆さん、いかがお過ごしですか? 根津甚八です。
近頃、セミの鳴き声が聞こえ始め、夏らしくなってきたなあ、と思っていたら、暦の上ではもう「残暑」なんですね。
前回はあちこち脱線してしまいましたが、今度は大丈夫です。
「吸血姫」には、不思議なことに何故かビックリエピソードが多いんです。
実は、あと二つほど披露したいのがあるんですが、それはまたの機会にするとして、前回のつづきをお楽しみ下さい。
「吸血姫」の舞台稽古の前日。
五月晴れの、本当に心地良い、スッキリとした好天の日だった。
石神井公園駅近くの店へ買い物を頼まれた俺は、いい天気に誘われて颯爽と自転車で出掛けたわけです。
目的の買い物を終えての帰り道。
稽古場に程近くの、長い一直線のアスファルトの農道を、軽快に飛ばしていた。
車も人もいない。目に見えるのは、澄み切った空の青と、左右に広がる畑の緑、そして長い灰色のアスファルトの一本道。やがて道はゆるやかな下り坂になった。ペダルをこぐのをやめて、スピードにまかせる。
自分が風と一体になったような気がしてた。
このまま何処迄も、この爽快さを味わいながら飛ばしていたい、そんな思いに駆られるほど、良い気分で飛ばしていた。
と、道の下りが急になり、ブレーキレバーを強めに握った一瞬であった。ガック~ンと、まるで壁に正面衝突したようなもの凄い衝撃が、俺を襲った・・・。
俺は宙に飛んだのだろうか? いや、確か前方へ飛ばされたような感じだった。その後、見事に着地、って、そんなわけはない。
もろにアスファルトに打ちつけられ、1、2回転したような気がする。
やっと自分を取り戻し、気づいた時は、農道のド真ん中に、尻餅状態でいた。
目の前にはただ、アスファルトの道がまっすぐ伸びている。
一体、自分の身に何が起きたのか全くわからない。
後ろを振り返ると、自転車がかなり後方に倒れているではないか。
「ってことは?」
やっと、事態が飲み込み始めた。やはり、自転車が転がってるあそこから、今尻餅をついてる此処まで、俺は宙を飛んだらしい。
幸い体には大した痛みも無い。怪我も右手の甲が切れて血が滲んでいる程度。起き上がってみると、転がってる自転車までの距離は7、8メートル位。
「オーっ、俺はこんなに宙を飛んだんだ」と妙に感心したりした。
ユックリと倒れてる自転車の方へ歩いていった。
自転車の前後の道には何も障害物は無い。物に衝突したのではないらしい。
一体何が起こったのか?
訳がわからないまま、倒れてる自転車を起こした時、前輪部の異常な状態に気付いたのだ。
何と、フロントブレーキのキャリパーがフレームから外れ、前輪のスポークにスッポリと食い込んでいるではないか。
きっとキャリパーをフレームに固定してあるボルトがゆるんでいたんだろう、下り坂でのブレーキの急激な負荷に耐えられず一瞬にして外れ、スポークに食い込み、前輪はロックしたのだろう。
障害物にぶつかったのではなかった。メンテナンスをしていなかった自分のせいである。
右手の他にも、打ち身があったのだろう、あちこち痛みだしたので、自転車には乗らずに引いていくことにした。
すると、妙な事に自転車はまっすぐ転がらず、右へ右へと曲がっていく。
ハンドルを左に切ろうとしても、切れない。
なんで?と、しゃがんで前輪の辺りを見て、ビックリ仰天。
ナ、ナ、ナント、フロントフォークの上部が後方に曲がっている。そのせいで前輪はフレームの左側に食い込んでいて、右にしか曲がれない車体となってしまっていたのだ。
しかたなく、壊れた自転車の前輪を持ち上げ、何とも情けない格好で、トボトボと稽古場へたどりついたのでありました。
皆さん、自転車に限らず、マシンの日頃のメンテナンスをお忘れなく!
近頃、セミの鳴き声が聞こえ始め、夏らしくなってきたなあ、と思っていたら、暦の上ではもう「残暑」なんですね。
前回はあちこち脱線してしまいましたが、今度は大丈夫です。
「吸血姫」には、不思議なことに何故かビックリエピソードが多いんです。
実は、あと二つほど披露したいのがあるんですが、それはまたの機会にするとして、前回のつづきをお楽しみ下さい。
「吸血姫」の舞台稽古の前日。
五月晴れの、本当に心地良い、スッキリとした好天の日だった。
石神井公園駅近くの店へ買い物を頼まれた俺は、いい天気に誘われて颯爽と自転車で出掛けたわけです。
目的の買い物を終えての帰り道。
稽古場に程近くの、長い一直線のアスファルトの農道を、軽快に飛ばしていた。
車も人もいない。目に見えるのは、澄み切った空の青と、左右に広がる畑の緑、そして長い灰色のアスファルトの一本道。やがて道はゆるやかな下り坂になった。ペダルをこぐのをやめて、スピードにまかせる。
自分が風と一体になったような気がしてた。
このまま何処迄も、この爽快さを味わいながら飛ばしていたい、そんな思いに駆られるほど、良い気分で飛ばしていた。
と、道の下りが急になり、ブレーキレバーを強めに握った一瞬であった。ガック~ンと、まるで壁に正面衝突したようなもの凄い衝撃が、俺を襲った・・・。
俺は宙に飛んだのだろうか? いや、確か前方へ飛ばされたような感じだった。その後、見事に着地、って、そんなわけはない。
もろにアスファルトに打ちつけられ、1、2回転したような気がする。
やっと自分を取り戻し、気づいた時は、農道のド真ん中に、尻餅状態でいた。
左、高石かつえ役の四谷シモン。奥に見えるのが、シモンの
制作による人形(ルネ・マグリットの男)
目の前にはただ、アスファルトの道がまっすぐ伸びている。
一体、自分の身に何が起きたのか全くわからない。
後ろを振り返ると、自転車がかなり後方に倒れているではないか。
「ってことは?」
やっと、事態が飲み込み始めた。やはり、自転車が転がってるあそこから、今尻餅をついてる此処まで、俺は宙を飛んだらしい。
幸い体には大した痛みも無い。怪我も右手の甲が切れて血が滲んでいる程度。起き上がってみると、転がってる自転車までの距離は7、8メートル位。
「オーっ、俺はこんなに宙を飛んだんだ」と妙に感心したりした。
ユックリと倒れてる自転車の方へ歩いていった。
自転車の前後の道には何も障害物は無い。物に衝突したのではないらしい。
一体何が起こったのか?
訳がわからないまま、倒れてる自転車を起こした時、前輪部の異常な状態に気付いたのだ。
何と、フロントブレーキのキャリパーがフレームから外れ、前輪のスポークにスッポリと食い込んでいるではないか。
きっとキャリパーをフレームに固定してあるボルトがゆるんでいたんだろう、下り坂でのブレーキの急激な負荷に耐えられず一瞬にして外れ、スポークに食い込み、前輪はロックしたのだろう。
障害物にぶつかったのではなかった。メンテナンスをしていなかった自分のせいである。
右手の他にも、打ち身があったのだろう、あちこち痛みだしたので、自転車には乗らずに引いていくことにした。
すると、妙な事に自転車はまっすぐ転がらず、右へ右へと曲がっていく。
ハンドルを左に切ろうとしても、切れない。
なんで?と、しゃがんで前輪の辺りを見て、ビックリ仰天。
ナ、ナ、ナント、フロントフォークの上部が後方に曲がっている。そのせいで前輪はフレームの左側に食い込んでいて、右にしか曲がれない車体となってしまっていたのだ。
しかたなく、壊れた自転車の前輪を持ち上げ、何とも情けない格好で、トボトボと稽古場へたどりついたのでありました。
皆さん、自転車に限らず、マシンの日頃のメンテナンスをお忘れなく!